オープン時の販促に手を抜いてはいけない

なぜオープン販促が重要か

なぜオープン販促が重要か。それは新規オープンほど、消費者が動機付けされる「理由」はないからです。

特にディスカウント施策を行わなくても、消費者が動機付けされる、唯一最大の機会といっても過言ではありません。

ですので、オープン販促に手を抜いてはいけません。

それでもお店のオーナーがオープン販促しない理由

しかし、オープン販促にあまり力を入れないお店を過去にたくさん見てきました。そんなお店のオーナーがオープン販促しなかったのはこんな理由でした。

  • 初期投資にお金がかかって、広告にまわすコストがない。
  • たくさんお客さんが来ても、スタッフ教育がまだできておらず、かえって悪評につながりそう。
  • 最初は知人や友人が来てくれるはずなので、大丈夫。
  • プレオープンさせて、意見を聞いたり様子をみながら、そのあと広告戦略を考えていきたい。
  • SNSとか、そういうのに明るくないので…。

結論から言うと、上記で今も営業しているお店はゼロです。

ケース1)スタッフ教育を理由にしたステーキ店オーナー

これまで居酒屋を営業していたオーナーが業態をステーキ&ワインの店に変更してオープンさせるので、相談にのってくださいと言われたので、オープン販促のプランを出したのですが、

「ステーキの焼き具合を聞いたり、ワインのオーダーを受けたり注いだり、そうしたホールスタッフの教育ができていないので、その状態でいっぺんにたくさんお客さんに来られてもかえって評判を悪くしそうです。ぼちぼち慣れていってから」

と、オープン時は、知人や取引先の招待に留めました。

その後、ホールスタッフのサービスレベルはさほど上がることもなく、むしろホールスタッフの定着率が悪く入れ替わりの激しいお店でした。

ケース2)知人や馴染み顧客に頼った美容室オーナー

行きつけだった美容室の担当のお兄さんが独立するというので、販促のお手伝いを申し出たことがありましたが、「知人や今までのお客さんが来てくれるから」と、オープン販促はしないと言われました。

その後、新しいお店には2回ほど行きましたが、いつの間にか行かなくなりました。理由はお手伝いできなかった、からではなく、営業時間の問題でした。

私は当時夜遅くまで働いていたので、23:00まで開いているお店を通りがかりにたまたまみつけて行くようになり、そのお兄さんと知り合いましたが、新しいお店は20:00閉店、立地も会社と家との動線とは反対の方向でした。

このようなサービス・立地などの内部要因以外でも、引っ越しや転勤、もっと近くにいい店が出来た、などの外部環境の変化によって、知人や友人、馴染みのお客さんがそのままいつまでも来てくれるとは限りません。

ケース3)SNSに手をださなかったフレンチオーナー

これも知人の話ですが、10年ほど前に「独立してフレンチの店を出す」というので、「facebookとかやったほうがいいよ。積極的にお客さんとつながって、”今日の仕入れ”とか”限定ワイン入荷しました”とか、発信材料はいくらでもあるよね」とアドバイスしましたが、結局やりませんでした。

当時はまだfacebookも日本にそれほどユーザー数がいないころの「これからくる(かもしれない)ツール」だったのですが、面倒なく顧客とつながれる便利なツールだと思いました。

その後東日本大震災などを機にfacebookは爆発的にユーザーを伸ばしました。

facebookをやることも大事だったのですが、そうした新しいサービスに敏感に反応して「とりあえずやってみよう」という瞬発力が、経営者には大事だと伝えるべきでした。

ちなみに、お店は3年ほどで閉店となり、数年がたち、また今年新たに店にチャレンジするというので、今度は「Pay Payとか、キャッシュレス決済は入れなよ」とアドバイスしました。

はたして導入したかどうかは聞いていませんが、お店のfacebookでは近況が伺えるようになりました。

オープン販促時にやっておくべきこと

オープン販促でお客さんにたくさん来てもらったら、必ず顧客リストをつくりましょう。

今であれば、facebookやLINEなどの便利なSNSツールがありますので、それで十分です。

いずれ運転資金は尽きています。オープン時に「初期費用に広告費を入れてなかった」というオーナーも、そんなオープン時よりもっともっと苦しい状態が来ます。

来たるべきそのときに、「顧客リスト」という、お店・企業にとって一番大切な資産が有るか無いかで、大きな差が生まれます。

今回コロナ騒動のような思わぬ事態もあります。営業自粛でテイクアウトやデリバリーに切り替えざるを得なくなったとき、いち早く顧客に告知して営業の切り替えができたお店もあれば、手元にはリストもなく、新たにデリバリーサービスに登録しようとしても登録に時間がかかったり、登録できたとしても競合に埋もれて結果がでなかったお店もあるでしょう。

お金が尽きても、ピンチになっても、顧客という資産があれば、なんとかなるもんです。ですので、まだ余裕のあって、いちばんお客さんを集めやすいオープン時に、お客さんにたくさん来店してもらい、顧客リストを作成しておきましょう。